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日本茶の店 清水茶寮からのお便り

店主の徒然日記、ハーブ園から、森林から便りが届きます・・・

山からのたより その30 2021年春の巻

山からのたより その30 2021年春の巻

 本を出版した!!    池谷キワ子

清水茶寮のみなさま、お久しぶりです。長い間ご無沙汰いたしました。
昨春に自費出版で本を出しましたが、その経緯をここに書いてみることにします。

林業の友人が以前から「今まで書いてきたものを本にしたら」と勧めてくれていたのですが、
同じようなことを繰り返し主張してきただけなのでとてもその気になれないでいました。
ところがそらあけの会のO氏もそう言い出してきて、私も急にやる気になり、
取り掛かったのが19年夏のことでした。彼も私も出版の経験がなく手探り状態からです。
ちょうど自社の記念祭を開催していた清水工房という出版社に出会い、
ここは自費出版も多く手掛けていて、八王子という近さもあり、お願いすることに決めました。 

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最初の打ち合わせをO氏と養沢でしていたとき、そらあけのYさんも同席していて、編集に参加してくれることに成りました。
彼女の明るい人柄が座を和ませ、編集会議はトントン拍子に進みましたが、
古い保存コピーの中から掲載したい文を拾い出すことに私は手間取っていました。
そこで二人は、採用する記事の選択にも乗り出して、必要なリライトまでしてくれました。
山の現場の写真をたくさん載せようと決め、溜めてパソコンに保存していた写真を選択吟味するのも
思いのほか時間を取られることでした。残念なのは、一代目のパソコンがバリバリと音を立てて壊れてしまって、
森林ボランティアが山仕事を始めたころの写真がすべて消え去っていたことです。
担当の清水工房 増沢氏も遅々として進まない私にしびれを切らす風でもなく、
編集者二人も多忙の合間を縫って調布の我が家に集まってくれてのんびり歩調でした。
表紙写真の選択、題字はだれに頼む、見出しの大きさはと試行錯誤が山盛りにあるのが編集と未熟者の私は知りました。

だから本作りでは言葉に尽くせないほど三人にお世話になりました。
清水茶寮ホームページとそのほかのメデイアに載った文とを合わせ、やっと校了になり
『山からのたより―養沢で林業とともに』として20年4月に本が出来上がってきました。

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(裏山の150年生のスギ林。明治元年 5代前の池谷次郎平が植えました)

出版時にはコロナが猛威を振るいはじめ、そらあけの会も活動中止となりました。
そこで、そらあけの会ほか林業でお世話になっている知人友人すべてに郵送したら、在宅の方が多かったせいか、
普段なら目を通してもらえなかった人もページをめくってくれたようで、思いがけないほどたくさん感想文が届いてきました。「木を育てる苦労や面白さには知らないことがいっぱいあった」とありました。これは私の大事な宝物となりました。
山の人たちのリアルな日常も書きたいと思うものの、個人を名指しであからさまにすることは躊躇があって、
興味を持って読んでいただけそうな記述は難しいことでした。
でも、山仕事のプロ「ユウさん」に関しては鬼籍に入ってしまっていたので、かなり率直に記述でき、
謝りたいようなことにもふれてしまっています。

そして、なんといってもこの本が出来たのは、清水茶寮が長年にわたって私の文章をホームページに
掲載してくれたことにつきます。この連載は、ただ身近なことを書き留めただけのものも数多くありましたが、
白井啓子さんはおおらかに書かせてくれたのでした。
山のことを知ってほしい、林業を広めたい、結果として東京の森林をいい状態にして子孫に渡したい、
いつもそう思ってきたら、芋づる的に人の縁がつながって白井さんと出会えたのでした。
この本の内容のほとんどを森林ボランティアの話題が占めています。
彼らが我が家の山に登場してくれなかったらこの本は出来なかったでしょう。
最初のグループの登場は1996年の「林土戸(りんどこ)」でした。
みんなで山に入るのは気分がよく、手入れに応えて育っていく樹木は子育てのような充実感があると言っていて、
ついで1999年には「そらあけの会」がスタートしたのでした。

このところの温暖化現象は豪雨や雪害の被害を増やしています。
積み木崩し、砂上の楼閣という言葉が浮かび、いつも新規まき直しとなってしまうのですが、
林業はもともとそういう性格を持つ仕事で、長年の辛抱強さが求められるものなのです。

建材としては寸法が狂ったりすると今では嫌われている材木ですが、それは木の調湿作用であり、長所なのです。
炭酸ガスを炭素としてその身にためこんで燃やされるまで放出されないことで「木造の家は都市の森」とも言われます。
その上、木の芳香が人体に優しい作用をする、このホームページは林業広報の役目も担ってくれたと思います。

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(五日市名産「のらぼう菜」の収穫)

先日、林業家で植物博士の菱山忠三郎氏が『高尾山の麓からー自然を見つめて』(清水工房\1700)と
題する本を上梓され、私にも贈呈していただきました。氏は野の花の案内書も多く出版され、
高尾山が目の前の八王子恩方在住です。
楽しい身近なエピソードがいっぱい詰め込まれていて、ぜひ一読をお勧めしたい魅力的な本でした。

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(養沢川が秋川と合流する落合集落)

その中に「生き物の、生きる命を大切に」とありました。この言葉が高尾山の林内にずっと掲げられていたそうです。
自然に中の植物や動物を人間と同等に思ういやそれ以上に、地球の先輩と感じるこの言葉に、私はとても心を打たれました。

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(山をくだるそらあけの会)

自分史を出すことは、本離れが進んでいるこのごろ、特に私のように狭い話題の拙い書きぶりではいかがなものかと
思っていましたが、個人的に作者を知っている人には、興味を持って読んでもらえるものだとわかりました。
直接お話しできない人にも自分の思いが伝えられます。数を抑えて発行したため、回し読みもして貰いました。
これも知人同士が中身を共有できて話題性を作ってくれました。ローカルな小さいメデイアが記事にしてくれて
伝播性も生みました。
本も出したら終わりでなく「そらあけの会」が取材を受けたりと、人のつながりも生んでいってくれたのでした。
出版ばかりでなく、山作りすべてにわたって大勢の方のお世話になってきたこと、本当に感謝が尽きません。
それにしても冊子「山からのたより」の在庫が底をついてしまってもうお分け出来ないのは申し訳ないことです。

最後になりましたが清水茶寮のみなさま、十分に身辺をガードし、コロナに負けないで冷静に過ごし、
なにか出来ることを手がけていきましょう。この経験から生きていく価値基準を新たにつかんでいきたいものです。

  1. 2021/05/07(金) 10:29:34|
  2. 山からの便り

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Author:せいすいさりょう


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