
「鷹の爪は、ある。糠も用意した。」よしっ!いつでも来い!たけのこ! という気構えで迎えた今年のたけのこシーズン。父が生きていた頃は、あちらの親戚、こちらの親戚から毎日のように大量に届く ‟たけのこ” を率先して茹で上げてくれていたので、‟たけのこ”が届きそうな時期を見計らって、糠はもちろん、「手間をかける時間の確保」という準備を毎年忘れて後悔する。ある日突然届き始めた‟たけのこ”を目の前に、「明日、急いで糠を買いに行こう」の勢いだから、せっかく水が滴るような‟たけのこ”を送ってくれても、残念ながらその若さの恩恵にありつけず、たけのこを掘り出す労力や送る手間を想像すると恐縮する。
‟せり”が届き始めた今年、よし、とばかりに‟糠”を買い込んだが、確保した時間より遅く‟たけのこ”は届き始め、結局、深夜に大鍋を並べての作業となり、一週間が過ぎた。随分以前に、これでもかとトラブルが続いた時期に、あるご年配の方から「苦労が次から次にくるから助かってるんじゃない。これがあなた、いっぺんに起きたらひっくり返っちゃうわよ。」と諭され、なるほどな、と思ったことがあったが、大袈裟にも、こういう場面にいつも思い出す。
今年最後の便のたけのこを鍋に入れつつ、首がうなだれた。眠気のせいじゃない、今年こそ、たけのこの‟オス”と‟メス”で味が違うか確認しよう、たけのこの皮を乾燥させて利用してみよう、と考えていたことを思い出したから。また課題は来年に持ち越しか、自分に呆れる。思い返せば、たけのこの柔らかさはオスだのメスだの関係なく、送られてくる家によって違っていたのは間違いないけれど、それが土地の違いか、鮮度なのか、何によるのかは分からない。
今日はたけのこの皮に包まれた、「八雲もち」をお茶菓子に<ハブ茶>を飲んだ。今年もコロナの影響で三重の茶畑に行けず、毎年朴葉のお団子をたくさん作って迎い入れてくれるご夫妻を想い、電話を入れる。明日の子供の日は数十年ぶりに、お茶と粽と、菖蒲を抱えて元上司に会いに行く予定。短い時間にせねばならないが、準備する今日からもう、気分は五月晴れだ。
- 2021/05/04(火) 13:53:56|
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