
2月の第一日曜日。母はいつもより早い時間に身仕度を整え始め、私が食卓に座る頃には妹がパンを焼き上げていた。ガスコンロには、味噌作りの為に大豆が既に煮始められていた。‟今日は味噌づくり”という日に、なぜわざわざ手間をかけて、妹はパンを焼いたのであろうかと考えながら、私は茶道のお稽古に向かった。 ‟あー!発酵かぁ!” 共通点を思いつき、思わず大きく頷いてしまった私は、お稽古中に、数人から首をかしげながらの視線をあびた。
翌日に、いろんな柑橘類がたまって食べきれなくて、と艶々と煮詰められたジャムを頂いた。アクがほどよく抜け、その程良さに、手慣れた感と、惜しまない手間ひまの時間が感じ取れ、一層美味しい。

お料理好きのおば様は、一人暮らしになってからは、灯油のストーブは危ないからと、息子さんが心配して電気ストーブに交換したけれど、‟こっそり元のストーブに戻しちゃった。だって便利だもの。”と時々そのストーブで時間をかけて転がしながら作る焼き芋を持って来て下さる。安心して皮まで食べられる、さいこーに美味しいおやつ。数日経って干し芋が出来た、とこれもお裾分け下さった。‟これはお日様の日のお陰。” と嬉しそう。
知人から、おねだりした干し柿が再び届いた。

干し柿も、いくらでもスーパーで買えるけれど、自家製の干し柿はなんとなく一層美味しい。阿蘇の農園の焙じ茶のよきお茶請けだが、父がひとり楽しそうに干し柿を作っていた姿を思い出してしまうことも、私としては嬉しい。
親戚から、両手にのるほどの、土のついた小さな蕗の薹が届いた。早春の匂いだ。今日は私が蕗味噌を作ろう。
- 2021/02/20(土) 15:49:40|
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