
5月の新茶の仕上がりに一喜一憂する日常の中に、ごっそりと空豆が届き始めると、私の台所仕事がしばらく続く。空豆は、名前も、さやの色も、さやの内も、お豆も綺麗だ。さやをむくは楽しい。煮えたぎらせず、ゆっくりと茹で上げるのに少し緊張するけれど、それも楽しい。

そろそろ空豆が届くのも最後かな、と思う次には、意表を突かれるようにとうもろこしが届いた。「もう、とうもろこしか!」空豆の緑も綺麗だが、少し黄味色の入ったとうもろこしも綺麗。掲載した写真はどちらも本物とはずいぶん色が違うので残念だが、明るい緑は、好きな季節へと気持ちをむけてくれる。

待望の第一便。若草色の青梅が届く。見ていて飽きない緑色。

青梅での仕込みが終わり、届いた第二便は青梅と黄色の完熟梅とその中間が混ざっていた。完熟梅の色はもちろんだが、プラムのような甘い香りは梅仕事のご褒美のひとつだ。届いた20kg程の梅の実はほとんどジャムにする。母の昼食に、このジャムが欠かせないことから始まったが、それが贈り物にもと加わり、今は非常食として、食する一年分より少し多く作る。梅ジャムも非常食になるな、とある時思った。普段は冷蔵庫に保存しているが、いざとなれば常温の保存でも安心出来るように作り、梅干しも十分用意してあるが、甘さとクエン酸の酸っぱさは、急時の疲労回復に役立つ。唾液が出るのも、健康上よいはず。どうでしょうか。

梅の最終便はどれも完全な完熟梅。膨れるような甘い香りと一緒に届いた。夏の暑さが苦手な、母の飲み物として、汗をかいていらっしゃるお客様への夏の日の一杯として、茶葉と完熟梅を一緒に炊いたものを作った。甘露煮でもなく、台湾の有名なお茶請けの茶葉梅という訳でもない。立派な姿の完熟梅には申し訳ないが、そのままの姿で残っているものもあれば、つぶれて種だけの姿になっている梅もある。梅と茶葉と砂糖で煮詰めた梅から出たエキス。これを梅の種で作った梅酢とお水で割って作るジュースは、格別。今年の茶葉は半発酵茶の清茶を選んだ。当たり前だが、茶葉によって出来栄えの味わいが変るのが、面白い。
ようやく終わった梅仕事。小柳さんからは紅茶が仕上がっていると連絡が入っている。梅子黄の頃を過ぎ、一仕事終えた余韻を残し、またすこし、次の季節へ移った実感。
- 2021/06/27(日) 18:16:45|
- 店主の日記
-
-