
11月は春に仕上げたお茶が、時間をおくことで、新茶ならではの青々しい風味から、
深い味わいを楽しめるようになる、それを喜ばしい月として過ごすお茶の世界があります。
私はもっぱら、5月に仲間たちと作った手作りのお茶で、その変化を楽みます。
この春は、お茶の木の成長を阻むような天候が続きましたが、自然まかせのお茶の木の
強さも知り、秋を迎えその美味しさも手前味噌ですが、上々です。・・・と、
でも、今日は、お菓子の話を。
11月にはまた特別に(毎月ありますけど)楽しみにしているお菓子があります。数年前まで
はなんと言っても「亥の子餅」でしたが、数年前からは鶴屋八幡さんの11月後半に作られる
「峠の朝」という上生菓子になりました。上記の写真のお菓子です。この時期の朝の峠の凛
とした空気が伝わってくる、この美しお菓子に、見た瞬間に一目惚れです。不思議な形を見
ているうちに、これは緩い山か、と思わされた時には膝を叩く思いでした。緑青色の餡は、
生地を通してみると、朝靄のかかった峠の風景を想像させ、中を割ると、美しい青色の餡が、
新鮮で冷たい空気と共に現れ、目覚めるような思いでお菓子を頂くことが出来ます。
質のよい甘さは口に残るほどではありませんが、その後のお茶が美味しくなるような、
お茶が欲しくなるような美味しさです。小切畑の煎茶や阿蘇の農園の緑茶もよいけれど、
爽やかな余韻がある当店の抹茶(清爽)がまた一層美味しく、この時期の楽しみになっています。
そのお菓子も今日で最後。また来年のお楽しみです。明日は、爽やかな12月の朝を迎えたいところです。
- 2019/11/30(土) 23:27:53|
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