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日本茶の店 清水茶寮からのお便り

店主の徒然日記、ハーブ園から、森林から便りが届きます・・・

素朴だけれど洗練されている時代菓子 「椿餅」

椿餅
季節を形にする和菓子は楽しい。時に、お茶会やお稽古に用意するお菓子を
考えては菓子職人さんに依頼をする。
1月の終わりから2月の初めにかけては「椿餅」というお菓子をお願いした。
椿餅とは、椿の葉の間に俵形の道明寺生地 (餡入り) をはさんだもので、
“関西風の桜餅”に形が似ている。

「“椿餅”をお願いしたいのだけど、今回は “とらや”さん風に、生地にニッキを
混ぜこんだものにしたいのだけど。」
「えー!!ニッキ入れたら生地が茶色になりますよぁ!?」と電話口の職人さん
はのけ反るような反応。

「私、好きなのよ。ニッキの味も好きなんだけど、源氏物語に出てくるという、
平安時代のその時代の色を出したくて、あえて白色でもなければ牡丹色でも
なくて茶色って言うか、錆びたような色に仕立てたっていう趣向が。」
「そりゃあ、私は職人ですから、こんな風なもの作ってほしいって、言われりゃ
作りますよ。だけど、ぱっと見た時、綺麗な色の方が皆さん、喜ぶんじゃない
ですか?いいですよ、そりゃね、先生がそう言うんだから作ってみますけど。」
困った声で電話は終わった。

後日、出来立ての「椿餅」を届けてくれた職人さんは、一緒に新聞の切り抜き
をお持ち下さった。今朝の新聞に丁度「椿餅」についての記事が載っていたと
のこと。 “つばきに感じた生命の輝き” と題した記事には “とらや”さんの
「椿餅」にも触れている。

「いやね、こんな風に季節に合わせてお菓子作れるのは何よりだよね。
源氏物語の若い貴族さんの蹴鞠の場面に出てくるお菓子に寄せて作る、
なぁんてのは、また楽しいね。うんうん。」上機嫌の職人さんのお話は続く。
「私のとこあたり(芝)の和菓子屋さん2軒、●●さんと、●●さんとこね、娘さん
ばっかで跡継ぎ諦めてたら、最近になって、お婿さんが後継いだんだよね。
お婿さん、いいとこ勤めてたんだよ。だけどさ、時代かね。今の時代、大きな
会社勤めてたって先々分かんないから、だったら、腕一本で成り立っていこって、
ことかね。娘はちゃんとおとうちゃんの背中見てんだねぇ。」

サラリーマンより和菓子職人、この話には驚いた。けれど、嬉しいこと。
美味しいことは大前提で、野暮では駄目だし、豪華な必要はないけれど、笑み
が出るような趣向で人を喜ばせることが出来るって、すごいことだ。

今日は東京は暖かな日差し。「椿餅」から「桜餅」へとお菓子の季節も移る頃か。
そういえば、今年はまだ「うぐいす餅」を食べていなかった。梅の花咲くこの季節、
和菓子屋さんの店頭には、「うぐいす餅」を並べるお店もまだ多くあると思うが、
楕円形を半分に折って、青黄粉をかけて “うぐいす”に見たてた、このシンプル
なお菓子の見たて、その説得力に頷かされる。
チョコレートも大好きだけれど、この季節ならではの和菓子と、その相乗効果で
味わう日本茶を、楽しまないのはもったいない、とやっぱり思ってしまいます。

  1. 2016/02/13(土) 15:17:43|
  2. 店主の日記

山からのたより その21  2016年冬の巻

            山からのたより その21  2016年冬の巻

               居心地のいい井戸入り山林!
                                      
                                           池谷キワ子

暖冬と言われていた今年ですが、ここへきて寒さも増し、雪が積もりました。
1月18日には15センチほどで、粉雪の舞うこの時期なのに重く湿った雪、少し森林に
被害があったようですが、まだ実態はつかめていません。

今回はみんなのお気に入りの森林の紹介です。
それは井戸入り山林と言って、養澤の家のすぐ裏手、井戸入沢に沿って13ha
(ヘクタール)がまとまっている我が家の所有林地です。
そのうちの7ha、沢の左岸が28年生のヒノキ林になっていて、植えた当初から、
作業員のユウさんたちやボランティアの協力を得て、私自身ずいぶん通い詰めて、
大事に育ててきました。

この林地は、1986年に激甚災害となった大雪害が発生して、森林すべてが潰れて
再植林したものです。40年生も60年生もほぼ全滅で、裂けて曲がり折れ、片付けて
跡地に植え始めるのに3年もかかってしまいました。

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(井戸入り山林、1986年の雪害場面1)

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(井戸入り山林、1986年の雪害場面2)

私の家から緩やかな山道を15分ほど井戸入り沢に沿って登ると、この雪害跡地植え
の林地に到着します。70年の歳月を経て伐り出して商品となるスギ・ヒノキですが、
幼齢林時代がもっとも手がかかります。よろよろして幼かった木々の世話に何度ここ
へ足を運んだか、数え切れません。7歳ぐらいからすっとボランティア「林土戸」
「そらあけの会」にもお世話になってきました。
中ほど地点に、たき火のまわりを間伐木でかこって休憩所が作られています。

写真は1995年下刈り大会の会場になった時のものです。
ボランティアが草を刈っている姿が見つけられますか?

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このときヒノキは7歳。右は同じ場所で2013年、そらあけの会が枝打ちを6メートル
までしている様子です。今年(2016年)28歳。しっかり育ち、草に埋もれて窒息しそう
な幼い苗のころ、雪で曲がって起きられず、世話されたことを木々たちはすっかり
忘れたようで、大人の樹の風格をかもし出してきました。植えたばかりの7年間は、
炎天下の草刈りを毎年してやり、その後は枝打ち2回、間伐1回して、写真のように
林内には光が入って下草が生え、緑のダムの効果ある森林になってきます。
写真でおわかりいただけるでしょうか。

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(光が差し込んだ林)

井戸入沢は日照りが続いてもけして涸れることなく、このように透き通った水を
サワサワと流し続け、沢沿いの道を歩くと、目にも耳にも心地よいものです。

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(透き通った水が流れる井戸入沢)

何百年もの昔から、周辺の家々の大切な飲料水でした。
夏には孫たちが井戸入りで虫取り、沢歩きで大はしゃぎでした。

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(虫取りにおおはしゃぎ!)

この水辺に春は蝶々、夏はオニヤンマなどのトンボ、ルリビタキなどの鳥たちが
来て水を飲み、水中にはサワガニやヒルまで居て、イノシシやシカの足跡まで
周辺についていたりして、水の流れは生命体の憩いの場所です。

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(お茶場と呼ぶ休憩所での森林見学者たち)

そらあけの会では3年前「海布丸太」を仕立ようと、すこしのエリアですがスギを植え
ました。ヤマザクラの咲く4月上旬が植え付け時期です。苗は2尺(60センチ)。
これから十数年後に手すりや垂木(たるき、軒端に使う小丸太)に仕立てる予定です。

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(スギを植える作業場面)

同じ林地に通い、成長していく木々を見守り育てていく、山は、春に芽吹き、夏は
緑にあふれ、紅葉し、寒い時期は眠りに入る。光の踊る晴れの日と小雨に煙る霧の日
では大違いの林内です。
日々を重ねて山に入り、木を育て続けると、やっと林業の面白さがわかってきます。  


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(ヤマホロシ) 

「ヤマホロシ」(赤い実の写真)は部分的にですが秋には群生して地面の広がり晩秋
には沢沿いが「フユイチゴ」の赤いカーペットに覆われます。初秋の「ツリフネソウ」は
お茶場前の小沢にいつも咲きそろう、年によって草刈を遅くしたりすると見られない
こともあります。
さまざまな花や実が季節を間違えず現れる井戸入りは、それだけ多くの人や動物や
鳥が徘徊して、種子をまき散らした結果といえます。
山案内の地図の井戸入沢お茶場付近を貼りつけます。

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右の寫眞はワサビ田です。私がこの世にいなくなってから数十年して、やっと伐期が
くるこの森林です。
はたしてそれまで雪害にも会わず一人前の材木として出荷できるでしょうか。
  1. 2016/02/11(木) 22:22:48|
  2. 山からの便り
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2016年 ハブ茶の季節

2016年 ハブ茶畑
2016年になり、初めてのブログです。
ご挨拶が遅くなりましたが、今年もよろしくお願い致します。

今年はうみの風ハーブ園の日々を出来るだけ多く、
ブログでご紹介していきたいと思っています!
 
エビスグサの収穫を11月から少しずつ始めて、
今は最後の畑の段の収穫をしています。
収穫→唐箕→脱穀→選別→鉄釜炒り
そしてお茶になります。
2016年 釜炒りしたハブ茶
 
今年は順調に育っている様に感じていましたが、収穫をしてみて、
収量が少なく感じました。
 
毎年、収穫をしながら植え付けからの日々を思い返します。
今年のいろいろな反省の中で、次回は
収穫時期をもう少し早めて、土に落ちていくさやを
少なくしていきたいと思います。
植え付けや成長段階での天候にも恵まれて、エビスグサが大きく育ち、
たくさんの稔りになりますように、私自身も心を込めて育てていきます!!
 
2月 まだまだ寒い日々が続きますが、皆さまお身体ご自愛ください。

                                         尚 美
  1. 2016/02/06(土) 14:02:13|
  2. うみ風からの便り

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せいすいさりょう

Author:せいすいさりょう


清水茶寮(せいすいさりょう)では、
無農薬・無肥料の、昔ながらの製法のお茶をはじめ、品種のもつ個性を活かして作られた煎茶、挽きたての抹茶、有機農法(バイオダイナミック農法)によるハーブなどをご用意して、日本のお茶の美味しさをご紹介しております。
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