
昨年の晩夏。稽古場先で「ちょっと“むくげ”の選定をしたところ」とのことで、
剪定された一枝の“むくげ”を頂戴した。
持ち帰った一枝を見せながら、「これ鉢植えに挿しても花が咲くかなぁ・・・」
「咲くさ。鉢植えだってなんだって。花は咲くよ」と父が言った。
「ふーん。」
少しの間花を楽しんだ後、固く小さな花芽が1つ残った枝は、冬の間は花瓶
で根を伸ばし、この春鉢植えに移した。あまりに小さくてか弱い枝だったので、
鉢が風避けになるように、鉢植えの土を半分だけ入れて枝を挿したら「あん
たなにバカなことやってんの。」と父は笑っていた。
今日、そのむくげが咲いていた。写真はとても下手だが、実物はなんとも愛
らしい色をした、小さな小さな花だ。あの20㎝足らずの茶色い枝から、こん
な綺麗な花がよくぞ咲いたものだと、感激した。
先日亡くなった父が「ほら、な。」と言っているに違いない。
- 2015/07/25(土) 11:13:11|
- 店主の日記
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蒸し暑さも手伝って、先週から今週にかけて、「冷やして美味しいお茶は?」と
言ったお問い合わせが増えている。「TVで緑茶の冷茶を紹介をしていた・・・」と
お伝え下さるお客様も何人かいらしたので、その影響も大きいか。
夏に熱いお茶飲んで一汗かいて、扇風機の風に吹かれてさっぱり、というのは
風物詩だが、ここ数年来の息苦しいような暑さでは、冷茶が何よりのご馳走だ。
当店では、水出し出来るティーバッグの<冷やし茶>をご用意しているので、
冷茶の一番人気はこのお茶。「サッパリとしていて美味しい」、とずっと好評だ。
このティーバッグは釜入り製法の緑茶を詰めているので、緑茶のもつ爽やかな
苦さがさっぱりにつながる、というよりも、透明感のある、喉越しのよいサッパリ
感がよい。刺激がないので、子供にもおすすめ。
私は家族の為に冷茶を作り置きしておくが、自分で飲むには大概その場で作る。
すぐに飲みたければ抹茶を茶筅でちょちょっと振って、氷をいくつか入れれば、
2分とかからず好みの味の冷茶が出来る。
緑茶の冷茶なら、雁がね茶の<伊勢の緑>がおすすめ。
もともと<伊勢の緑>は爽やかなお茶だが、冷茶にしてもとても美味しい。
急須に茶葉を入れて、氷水をいれて10分~15分。
常温で置いておくなら氷を多めにすることをおすすめ。
ちょっと時間がかかってもよいなら、急須ごと冷蔵庫に入れて冷やしてもよし。
氷と、呼び水になる程度のほんの少しのお水を入れて、ギュッと緑茶のうまみ
を抽出した冷茶はご馳走。わずかのお茶しか出来ないが、ひと口飲んだ後の
清々しい余韻は素晴らしい。
水出しした茶葉は一回か、少し多めに茶葉を入れておけば2回は水出しが楽しめ、
後は熱湯で入れて緑茶の風味を楽しむことが出来る。
後はぜひ、ミントやレモンバームといったハーブとのブレンドをお試し頂ければ、
ちょっとお茶に入れるだけで、熱くても、冷たくしても清涼感が楽しめます。
これから猛暑の季節。美味しい水やお茶をどうぞたくさんとって、快適にお過ご
し下さい。
- 2015/07/16(木) 09:37:07|
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山からのたより その19 2015年夏の巻
養澤の山はこれから? 池谷キワ子
清水茶寮ホームページの読者のみなさま、こんにちは。
またご無沙汰してしまいました。
人は齢を重ねるにつれ、四季の巡りが足早となるとは誰でもいうことですが、今年の
ように寒さから暑さがひとっ跳びだと、ふと気が付くといつのまにか夏が来ていた
といった感じです。
そして梅雨に突入でした。
7月になるころ養沢川ではホタルが舞いだし、ネムの木が夢見がちなあわいピンクの
花に覆われます。
ホタルブクロの薄紫の筒状の花はその名にぴったりです。
川沿いの「ささんた小屋」の斜面にはヤブカンゾウが橙色に咲き出し、ホタル見物に
最適の場所となっています。
でも、今年はさらに、前回に紹介した「ゆうさんち」がもっと目近に川面のホタルが
見られるようになりました。

(ネムの木と養沢川6月29日)
林業は商品ができるまでにこのあたりではだいたい70年かかります。
ちょうど終戦のころ植えた木が、今やっと伐り出せる時期を迎えています。
ところが材木価格は大幅に下落したままで推移しています。
養澤では、山に林道や作業路が入っていませんから、架線集材と言って山の斜面の
空中にロープを張ってトラックに積める道端.まで木材を下ろす出材です。この方法では
経費が掛かり、丸太市場で材を売っても、その手間賃だけで売上が消えてしまうのです。
この地域は林地が小刻み所有で、地形が複雑に入り組んでいるからです。
そこで林業者同志が手を組んで協力しあう「集約施業」をしていきなさい、林道や作業
路をつなげてつくり、山から木を伐りだすコストをさげるようにしなさいと、ここ数年間、
林野庁からの指導が続いています。
でも私たち養澤地域は小規模所有者ばかりでこの取組みが進めにくい現状でした。
そこに登場したのが築地豊さんです。彼は森林ボランティアから作業のプロに転向して
十数年。最近になって林業の仕事を請け負う、一般財団法人「木の和(このわ)」を作り、
養澤地域を中心に林地を所有する山主さんに賛同してもらって、林野庁の進める集約
施業を展開しはじめました。
築地さんという第三者がわかりやすく熱心に説明するので信頼が徐々に得られてきて、
3年近く経ち、15人ほどの所有者が賛同してくれています。
林業離れが加速する今、私はこの方法に「林業の未来がある」とたいへん期待してい
るところなのです。

(写真↑伐採する築地さん ↓昨年造成した作業路。林内に延ばして出材をしやすくする)

養澤では、江戸時代の終わりの頃から、天然林を伐採してはスギ・ヒノキを植樹して
人工林の林地を増やしてきました。寒村で山林しか暮らしに役立てられる自然はなく、
各家は、薪炭用の広葉樹林をスギ・ヒノキ林に仕立ててきました。
これは拡大造林といって大変な労作がかかります。
自分の生きている時間のうちには収穫できないという性格の仕事なのに、汗水たら
して子孫のためにと頑張った先祖たちです。
さらに「共有林」という、何人かで共同出資して林地を買うか借りるかし、苗を求め、
力を合わせて手入れに励み、育ててきました。
養澤地域は一人の力が弱かったためか、手を携えて励む気風があり、たくさん
「共有林」があるのです。でも、その地権者が相続や登記の手続きをやってこなかっ
たために、いま私たちの抱える大きな問題となっています。
戦後はとくに、燃料革命など森林を取り巻く状況が急激に変貌しました。
長い時間を必要とする林業、急に手の平を返すように造り直しはききません。
そしてやり直したとしても、それが成熟したあかつきにはどんな結果になるか分かり
はしないのです。だから林業は、不況のときも繋いでいくことなのでしょう。
どんな好景気の時代でも、木は同年輪しか刻まない。
肥料をやって早く肥らせたりすると建築に向かない力の弱い材に育ってしまいます。
人間の事情など関係ない、ほとんどを自然界にゆだねた仕事です。それでも、適時に
手入れをしないと枯れたり曲がったりですし、時には雪や台風で林が折れ裂けてゴミ
と化してしまうこともあります。 ↓

(↑このまま放置すると曲がり木になる 10年生ヒノキ林 )

(↑1986年の激甚災害となった雪害 池谷山林 撮影池谷キワ子)
今回の山からのたよりはちょっと理屈っぽいですね。その上、以前に書いたことと
ダブった内容もあります。
ただ養澤の林業に薄い光が差し始めた「集約施業」、これからです。
続きを書きたいと思う日が早く到来してほしいと願っています。
- 2015/07/10(金) 08:50:15|
- 山からの便り
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宮崎は、 雨の多い梅雨です。
梅雨入りしてから 3日間、晴れが続いた日がありません。
作物達も、お日様の光を待っている感じです。
梅雨入り前に、大麦を収穫しました。
ここ数年 鳥の害に遭い、大麦を育てる難しさを感じていました。
今年は鳥の動きを観察しながら、ネットを何度も張り直し、大麦の成長を見守ってきました。
5月末、黄金色に稔った大麦を手がりで収穫しました。
脱穀し、唐箕にかけて、日に干して、鉄釜で炒りあげ、麦茶が出来上がります。
じっくり二度炒りました。
麦の甘味のする 麦茶をお楽しみ下さい。
ミント茶も出来ました!!
今年は雨続きで中々収穫もはかどらず、例年に比べ ミントも 大きくなりません。
ミントの香りが広がる収穫や乾燥、袋詰めが私は好きで、夏の訪れを感じます。
気候の情況や獣害など、 毎年毎年 様々な出来事があり、植物の成長もその年で違います。
自然相手の農業は、自分が思い描く様には中々いかない事を毎年痛感させられます。
季節ごとに成長していくハーブや作物を収穫出来る時、その香りに いろいろな想いが広がります。
今は 夏のハーブ達の収穫が次々と始まります。
ミント・バーベナ・ネトル・レモンバーム…
この夏の香りや味をお届けできたら…と 思います。
尚 美
- 2015/07/05(日) 19:54:31|
- うみ風からの便り
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