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日本茶の店 清水茶寮からのお便り

店主の徒然日記、ハーブ園から、森林から便りが届きます・・・

海の中ではどれもタダ

昨日はハロウィンの日の電車の様子を思い出してブログを書いたが、一緒に別な場面も思い出した。

若い母親二人に小学三年生くらいの子供が二人。夕方近くの電車の中。
会話の内容はこんな感じ
「イワシって秋の魚だって知ってた?」と母親A
「あー、そうなの。知らない。食べないもん。イワシ、どーやって食べるの。」と母親B。
「わかんない。安くて栄養ある魚っていうけど、切ってない魚って食べ方わかんないよね。」
「ねぇねぇ、イワシって魚?イワシって安いの?なんで安いの?」と子供A
「えー、たくさん捕れるからかなぁ。いっぱいるから価値ないんだよ。食べたことないんだっけ。」
(…あれ、この人母親だよねぇ…と思う私)
「なぁ~い。」
「食べてみたい?」
「…わかんない。」
「ん、いい、いい、安い魚食べたがらなくても。」
…とここで母親2人が笑い出した…

私の座る座席の前での場面。子供との会話が、それでいいのかオッカサン、と少々ため息まじりに、
私もイワシを焼くくらいしか出来ないけど…ふ~む…と見ていた。

数日経って、「海の中ではどれもタダなんよね」の言葉にハッとさせられて、なんとなく取ってある、
1996年の料理雑誌に掲載された、和食の料理人村田吉弘さんの言葉(以下)を何度か読み直した。

・・・・・・・・・
さばとかいわしというと、「何や安物か」というような反応をする方、いはりますよね。
確かに、さばもいわしも、たいとかひらめとかに比べれば、それはもう絶対的に安い。でも、考えてみると
元をただせばみんないっしょ。海の中ではどれもタダなんよね。

当たり前のことやけど、魚について言えば、私らは魚をとって運んで食卓まで持ってくるという手間に対
してお金を払っています。その値段や希少価値やら何やら人間の身勝手な価値観で変わってくる。
味でも栄養でも劣っているわけやないのに、そんなことで順位つけられて、時々さばやいわしが気の毒に
なりますんや。

なんか偉そうなことばっかり言うとって恐縮ですけど、最近食べ物に対して敬意を払うということが減って
いるように思うんです。食べるということは、ほかの生命をいただくゆうことですよね。食べられたうえに、
安物いうて軽んじられたんじゃあんまりですやろ。せやから、さばもいわしも、せめて敬意の念を持って、
おいしく料理してやりたい思うんです。





  1. 2013/11/04(月) 12:00:54|
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10月の清水茶寮

つもらせた不摂生がたたったか、10月はすっかり体調を悪くし、あれっ、という間に電車の中に面白い
カッコの人たちがたくさん乗っていた、ハロウィンの日になっていた。

…ハロウィンの日の子ども達の仮装姿は可愛いが、日本のところどころの地にあった、秋のお月見の日の
“月見泥棒”なる伝統行事の方は、廃れてしまったのは残念なこと。お月見の日、各家庭にお供えされた
お団子を、子ども達が盗んで回るのをよし、とする習慣。私が暮らしてきた地域にこうした習慣はなかったが、
千葉県に住む知人から、子どもの頃、各家庭に置いてあった庭先のお菓子や団子を取りに行くのが楽しかった、
と聞いたことがある。家人はもちろん、子どもたちの泥棒行為に気づくであろうが、今思えば、誰もが知らない
ふりをしてくれていたと思う、とも言っていた。
これに似た話を、他の故郷に育った友人からも聞いたことがある。

話がかわるが、東京都江戸東京博物館では、“明治のこころ~モースが見た庶民のくらし~”と題した特別展が
開催されている。

動物学者のエドワード・モースが見た、明治初期の様子を楽しむことが出来る展示会だ。私は、
“お茶、お茶と、朝昼晩及びあらゆる場面、お茶ばかりである。行く先で必ずお茶が出されるのは、日本に
於いて気持ちのいい特徴である。”とのモースの記述が気に入り、この特別展に出かけて行った。

お茶に関しては「箱入り練茶」に興味が引かれたが、一番印象に残ったのはモースの記述の解説文に
“「日本はたしかに子供の天国である」とモースは述べる。
 世界中で、日本ほど、子供が親切に取扱われ、そして子供の為に深い注意が払われている国はない。
 ニコニコしている所から判断すると、子供達は朝から晩まで幸福であるらしい。”
という一文があった。はて、この国の母性はいったいどこにいってしまったのだろうか。…

冒頭の“月見泥棒”の話にもどるが、この行事、縁側という空間があった日本家屋であってこそだろうか。
やはりモースの記述の文になるが、以下の文にも目をひき付けられた。

「家屋の開放的であるのを見ると、常に新鮮な空気が出入りしていることを了解せざるをえない。」

…あれこれ考えていたら、もう11月だ。










  1. 2013/11/03(日) 01:38:59|
  2. 店主の日記

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Author:せいすいさりょう


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