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日本茶の店 清水茶寮からのお便り

店主の徒然日記、ハーブ園から、森林から便りが届きます・・・

レモンバーベナ

我が家のレモンバーベナ
先日入荷した<レモンバーベナ>が好評です。

茶道のどの本であったか忘れてしまったので、正しい文をご紹介出来ないことをお許し頂きたいのだが、
「物を持つときは人差し指の力をぬいて、中指に心を込めるように」というような文があった。
人差し指に集中すると“知に走る”、知覚的に物をとらえるだけになるが、親指と中指で物を持つと、
心身と物が一体になる、といったことが書かれていた。物を人差し指で触れる場合と、中指で触れる場合
では、身体の受け止め方が違う、という文のとおり、確かめてみれば、成るほど違った。

<レモンバーベナ>を飲むとなんとなくポワ~ンとするが、(これはお茶会に出す度にお客様の様子も
そのようになるから面白い、というか不思議です)今日は、<レモンバーベナ>をとても気に入った、
というメールを頂戴したので、<レモンバーベナ>を飲みながらこの香りについて考えていたら、
上記の文を思い出した。

全く説明になっていないが、<レモンバーベナ>の香りは中指の感触に似ているかもしれない。
理屈なく、爽やかで甘いレモンの香りを楽しませる。
白っぽいドライハーブに熱湯を注せば、鮮やかな緑の葉に戻り、それは綺麗。ポットに生の葉っぱを
入れたようで、目にも楽しい。

夏の暑さに疲れた体に、頭も休ませる<レモンバーベナ>はおすすめです。


  1. 2013/08/31(土) 22:46:37|
  2. 店主の日記

夏の日のお土産の“桃”

もも
8月の暑かった日。
父に呼ばれ一階に下りて行ったと思ったらすぐに上階にもどり、「けいこ、冷蔵庫のお菓子、お客様に
お出ししていい?」と母が慌しく言った。「どうぞ、どうぞ。」てっきり前日に買ってきた、我が家の
お気に入りの水羊羹だと思ったら、私が作ったお菓子だったので驚いた。
私が時折作るお菓子は、家族にも、お茶会でも、“変っているけどなんだか美味しい”というのが定評だ。
その変っている、というところが母には苦笑いするところらしく、我が家はお客様が多いので、ぜひ、
実験的につくるお菓子の消費の為、お客様にお出ししてもらいたいのだが、お願いしておいても、
「そうねぇ…。」でいつも終わってしまう。それが、この日は、美味しい水菓子があるにもかかわらず、
どういう訳か私のお菓子をお出しした。??? どんなお客様だろう、いったい。

小一時間の後、母がりっぱで美味しそうな桃の入った箱を抱えて上階にもどってきた。
桃好きの私はにっこり。帰ったらあの桃を冷やして食べよう…、と思いながら玄関を出た。

帰宅後、桃をお土産に訪れて下さったのは、父の若い頃からの仲間のKさんだったことを知った。
Kさんは数年前に大病を患い、大きな手術を受けられ、その後他の病気にも見舞われた。休日なしの、
仕事ばかりの父しか知らない私は、手術を受けられた時期に、父が母に「彼に店と奥さんを頼まれた。」
と言ったのを聞き、時折その奥様に電話で困っていることはないか、心配なことはないか、と尋ねている
場面を見て、初めて、(当たり前だろうが)父にも、仕事抜きの仲間がいることを知った。
Kさんは、苦労時代を励まし合いながら支えあった仲間だったことはもちろん母は承知で、この日の前日、
父と電話で話しをしたKさんは、「どうしても久しぶりに顔を見て話をしたくなった。」と言ってわざわざ
我が家に来て下さったらしい。その気持ちが嬉しくで、せめてヘンテコなものでも、手作りのお菓子を、
と母は思ったに違いない。

さて、そのKさんだが、バスと電車とタクシーを乗り継いで我が家に来てくれたとのこと。
帰りは我が家の近くにある評判の鰻をお土産に、父が車で家の近くまで送ったそうだが、家の近所で
降ろした手前、気になってKさんのご自宅に電話を入れたところ、奥様が驚いて「えー。白井さんのお家
に主人は行ったのですか?」と言われて父は困ったそうだ。奥様のお話では、ここのところずっと、体に
ひびくので外出は一切されていらっしゃらないのに、数時間も姿を消してしまい心配されていたこと、
外出からもどられた際、いくら聞いてもどこに行ったか言わないし、おまけに鰻までお土産を持って帰り、
何があったのか、さっぱい見当がつかなかったとのことで、少々遠い我が家までご主人様が訪問された
ことを本当に驚いていた、と父は「困ったよ」と言いながらもとても嬉しそうに話した。

思ったよりKさんがお元気であったことはもちろんだが、男の友情…というか、
「朋有り、遠方より来たる。亦た楽しからずや。」の心境に違いない。
体のしんどさを越えて、友の顔が見たいと、会いに来てくれたのだから。

私は、氷の張った水で冷やしながら、美味しそうでりっぱな桃を見ながらKさんのことを思った。
今日も暑かった一日。しばらく外出されていなかったKさんが、こっそり着替えて、お金を用意して、
心配する家族に見つからないように家を出るのはどれほどスリリングであったろうか。
たくさんの桃は重たかろうに、どこで購入されたか。どんな気持ちで、どんな風にお土産を選んだのだろう
…訪問先の喜ぶ顔を思いながら、旬の土産を買う行為は楽しかったに違いない。父は果実が大好きだ。
奥様にどこに行ったのか尋ねられた時、なぜ、言わなかったのだろう…遠出を知って心配されることを思っ
たに違いないが、してやったり、ニンマリの気分に違いない。

あの日からもう2週間以上が過ぎ、8月も終わろうとしている。kさんは体調を崩すことなくいらっしゃる。
猛暑続きであったが、桃をお土産に、小気味よいKさんの訪問が心に清風をよび、夏の日の思い出となった。




  1. 2013/08/30(金) 00:01:22|
  2. 店主の日記

ドキュメンタリー映画 天に栄える村 を見て

先日、ブログでもご案内をしたドキュメンタリー映画「天に栄える村」を福島の友人と見ました。
美しい里山が広がる福島県の天栄村(てんえいむら)は、水道水を全て湧き水で賄えるほどの豊か
な水源があり、その水で全国米・食味分析コンクールで5年連続特別優秀賞を受賞するほどの良質
なお米作りに取り組んでいます。

映画は、原発事故前の生き生きとした「安心・安全で美味しい米作り」の取り組みから始まり、その後、
原発現場から70kmも離れた村であるにもかかわらず、高度な放射能汚染に見舞われ、その現状と
風評被害を背負い、「なんでこの村が…」との思いを抱えながらも、手探りでひたすらに「日本で一番
安全で美味しい米作り」を目指す農家の方々と役場の吉成さんの姿を追ったものです。

天栄村の米作りの姿ではありますが、苦労は違っても、この映画から、農作物を作る多くの方の苦労が
思われます。

村役場の吉成さんが、「福島と聞いただけで、なんとなく引かれてしまうところがある・・」とお話さ
れていましたが、まさに、そうしたことがある私も、「自分達だって消費者なんだ。」「自分の子供に
食べさせられる米を作らないと。」という農家の方の言葉に、福島の農産物をもっと手にとっていこう、
という気持ちにさせられました。
農家の方々のご苦労はもとより、この役場の吉成さんの働きも実に実によく、この映画をもっと多くの
方に見て頂きたいし、地域のために働く公務員の方にもぜひとも見て頂きたいと思わされました。

多くの場所で自主上映会ができるように、DVDも作成され、外国でも見て頂けるよう、英語版も作成中
とのこと。この映画に込めた思いが伝わります。この話をある役所に勤める方にお話をしたところ、
「DVDはあるのですか?では婦人部に早速話をして、上映会が出来るように話をしてみます。」とすぐに
映画社の連絡先をメモしてくれました。

打てば響くがどんどん広がり、少しでも早い復興への道につながりますように。
私もささやかながらブログでご案内です。

この映画、東京では、東中野にある映画館“ぽれぽれ東中野”で開かれる「福島映像際2013」
9月14日~20日(日)でも2回ほど上映される予定になっているそうです。
ご興味もたれてご覧下さい。
※ポレポレ東中野 TEL03-3371-0088
※「天に栄える村」の自主映画のお問い合わせは 「桜映画社 配給部 TEL03-3478-6110」です。

また、陸前高田在住の佐藤直志さんの震災後を描いたドキュメンタリー映画「祖先になる」が上映されます。
            10月3日(木)午後1時30分~午後4時
            東京農業大学「食と農」の博物館 2階 セミナールーム
            一般は参加費 1200円です。

長男を波にのまれ、住み慣れた地に残り、一人で家を建て直す決断をされ奮闘されていく姿を追った映画です。
お申込み問い合わせは NPO法人良い食材を伝える会 事務局TEL 03-3423-6080

合わせてご案内申し上げます。



  1. 2013/08/27(火) 19:38:23|
  2. 店主の日記

山からのたより その13 夏の巻

山からのたより その13 夏の巻

山で採れる食材、山の楽しみ     池谷キワ子


暑さもピークが過ぎたのかまた来るのか、ともかく酷暑でした。
いかがお過ごしでしょうか。
山も日照りが続いた後に大雨だったりしています。降りすぎて山崩れ(養沢では「くよ」)が
起きなければ山の降雨は恵みです。

今回は山での食べ物編です。春、山に生える草々の新芽はほとんどが食べられるといえそうです。
もちろん、ハシリドコロ、ヒガンバナ、クサノオウ、タケニグサなど毒草もけっこうありますが。
山菜の王様、ワラビ、ゼンマイ、タラノメ、コゴミ、フキなどはこのごろは普通に出回っていて、
栽培されているようです。特に「山菜天ぷら」の材料は盛りだくさんで、数え上げればきりがありません。
やっぱりなんの人手も加えず森林や草原で野生したものほど香り豊かなのが春の新芽です。
そのかわりアクが強く、味が濃厚でやみつきになりますね。
養沢では自分たちが楽しむ量を山仕事のかえりに採集するだけ、根絶やしにしないのが原則です。

夏の盛りのこの時期、少ない山菜をいくつか紹介します。
わが家の裏の山の入り口に植えてある茗荷は7月末あっという間にこのように花が咲いてしまい、
品のいい花ですがこうなると食材としてはツーレイトとなります。品種が違うらしい「秋茗荷」は
彼岸ごろ、色がピンクでより美しい。山への道にはミツバが自生しているので、ボランティアが作る
「みそ汁」の青味に最適、摘みながら登って行きます。
すこし登った林地に先祖が植えた孟宗竹の林があり、5月のタケノコはひざ丈ほどに成長してもまだ
柔らかく食せるので好評です。

花が咲かないうちがいい

花が咲かないうちがいい

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昨年の多作だったタケノコの写真です。
収穫後はみんなで平等にわけます。今年は裏作で10%にも満たない少ないものでした。


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               青ユズ                    自然に生えているミツバ

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          8月収穫ブルーベリー               ワサビ田にはいつも沢に水を流す

青ユズは8月はまだ小さくて、完熟する11月ごろのユズとは芳香も強くおそうめんにぴったりです。
蒟蒻は収穫に数年かかりますが、これは「そらあけ畑」で栽培しています。
年末に、そらあけ会のYさんがレシピとともにお刺身蒟蒻を伝授です。
ブルーベリーは7月末からがシーズン。
これは畑に苗を植えて20年余りなのにさっぱり成長してくれないのです。
世話がすくないので怒っているようです。でも、絶対病虫害にかからない、タフな植物です。
ワサビ畑ははるばる千葉からもう15年も通っている公認会計士嬢が、森林ボランティアのかたわら
独自でワサビ田を造り上げてきています。このことは、便りの“その7”に書きました。
ワサビは「まずま」「だるま」という種類が栽培種だと奥多摩の新島先生に聞きました。
井戸入沢に点々と自生しているワサビは、50年以上前近所のおじさんがここで育てたことがあった名残です。

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ついで昼食のお話しです。「そらあけの会」お弁当タイムはうれしいいひととき。
「かしき」と呼ばれる2名の食当が、一年中、鍋いっぱい「具だくさんみそ汁」を作ってくれます。
自由持ち寄りの具は、生まれて初めてというようなアイデア食品も入って闇鍋ふうです。
12時10分前に笛の合図で作業の手を止め、順次「お茶場」と呼ぶ荷物を置いた、たき火の炉のまわりに
もどってきます。昼食はかなりまとまった量のお惣菜を持ってくる人もあって、それをバイキング形式に
ぐるぐる回すのです。
「怪我と弁当と足は自分持ち」といわれるボランティア、すこしでも楽しんでいただけたらと、
わたしも出来る範囲でオカズを用意していきます。このごろは20人になることもあり、この写真より
もっと大量に持っていきます。夏は野菜マリネや酢の物を冷やしていくと好評です。
山での楽しみはいろいろあります。
  1. 2013/08/27(火) 09:58:42|
  2. 山からの便り

親孝行な息子さん

藤かおりの茶の木
3月の中旬頃、<藤かおり>等をご注文下さった方から、日をおかずに<藤かおり>の注文がきた。
メッセージの一文に、
「2度目の注文です。藤かおり、本当に素晴らしく美味しいので両親にも飲ませたく、再度注文いたします。母はお茶どころ静岡の出身ですが、どんな反応をもらえるか楽しみです。」とあった。

どんなご注文も有り難い、と手を合わせるが、“素晴らしかったから…”とか“美味しかったから…”というメッセージを頂戴すると、お茶屋でよかったな、と素直に嬉しい。ましてや、だから、“家族にも” とか “友人に” 飲ませたいという気持ちの注文には、小躍りしたいような気分になる。

さてその後も、<藤かおり>の新茶のご注文などを頂戴した7月の終わり、再度の注文が届いた。
メッセージは、“ようやく実家で藤かおりを飲みました。ところがなぜか美味しくない?”

ではじまり、えぇぇぇ!!とショックでのけぞったが、以下の文が続いた。
ご本人のご承諾を頂戴してありますので、まずはご紹介を。

・・・・水が原因でした。
浄水器をつけ、新品のやかんと茶器を持ち込み、ようやく本来の味が楽しめる環境にしましたら「おいしい!」ということになりました。あっという間に飲んでしまったようで、新茶との飲み比べはできませんでしたが、このお茶をたいへん気に入ってくれました。
というわけで追加の注文をいたします。

母に昔の静岡のお茶はどうだった?と聞きますと「美味しかった」というのですが、銘柄や入れ方など全くわからないそうです。お茶にうるさい祖父が上等なものだけを祖母に入れさせていたようで、母たちは自分で入れることがほとんどなかったと……
そして今なぜか私が入れ方を教えることになってしまっています。
美味しいお茶のおかげで両親は毎日の食事が楽しく、私は両親とのやりとりが増え、まことにありがたいことだなぁと感じております。・・・・(途中まで)

急須でお茶を淹れる時間には、家族がいれば“お茶入ったよ”と呼びかける“団欒”という時間や、職場では皆がなんとなく手を止めてお茶を飲み飲みの“ひと息の間”という時間がつくれたが、ペットボトルのお茶で、果たしてそれがどうなのか、と常々思っているが、こうしたメールを頂戴すると、やはりお茶屋をやれていてよかったな、と心の支えを頂戴する。<藤かおり>の初代の作り手の小柳さんは、「“手間をかけてでも、急須で淹れてみたくなるようなお茶”を我々は作っていかないといけない。」とよくおっしゃっていたが、このような応援歌が二代目の小柳さんにも励みになるだろうからお伝えしよう。

このご注文主は男性の方で、コーヒーの抽出はずいぶんやりこんだが、お茶はまた奥深く、すっかりお茶にはまり込んでいます、とのこと。女性も男性も、お茶を美味しく淹れられる人がたくさんいる国っていいな、とお茶屋は願っております。



  1. 2013/08/04(日) 14:36:26|
  2. 店主の日記

お店の紹介

せいすいさりょう

Author:せいすいさりょう


清水茶寮(せいすいさりょう)では、
無農薬・無肥料の、昔ながらの製法のお茶をはじめ、品種のもつ個性を活かして作られた煎茶、挽きたての抹茶、有機農法(バイオダイナミック農法)によるハーブなどをご用意して、日本のお茶の美味しさをご紹介しております。
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