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日本茶の店 清水茶寮からのお便り

店主の徒然日記、ハーブ園から、森林から便りが届きます・・・

やまに園茶房の小柳さんを訪ねた日

茶畑から見下ろした風景
この写真は、小柳さんの茶畑の途中から撮影したものです。茶畑の標高の高さが分りますか?

先日、久しぶりに小柳さんの茶畑のある“やまに園茶工房”を、煎茶のお稽古に通って来るお二方
と一緒に訪ねた。手土産に、今では茶作りから引退されてしまった父三義さんが、初めて「このような
お茶を作りました。私の思い描いた作りたかったお茶です。ご感想をお聞かせ下されば有り難いです。」
といった手紙と一緒に送られてきた、わずか20g程度の<大井川>を用意した。
その時から10年以上経ってしまったお茶だ。

よくぞそんな少しだけのお茶を取って置いたと思われるかもしれないが、試飲した時の、「日本でも、
作り手の努力で、台湾の高山茶のような爽やかな花の香りが十分に立って、更にはしっかり渋味や苦味
も含んだ日本茶ならではの味わいがある、こんなお茶が出来るのか!」と小躍りしたくなるような感激
はひとしおで、一杯で小柳さんへの感想は十分に伝えられたし、ひとりで飲むにはあまりにももったい
ないと思われ、すぐに封をしてしまった。
その後は、何か特別な時に飲もうと保管しておいたが、久しぶりにお会いする三義さんと一緒に飲んで、
今度は私が三義さんから感想が聞きたかった。10年以上前の自作のお茶に、三義さんはどのような感想
をもたれるだろうか。

ハプニングの末、東京から車でようやく静岡県藤枝市の小柳さんの家に辿り着いた。
その名は「やまに園茶工房」。久しぶりにお会いした、何度かの手術を受けられた父の三義さんは予想
よりお元気そうで安心した。
「これなら、持参した<大井川>を飲んでいただけそうだ。」と心の中でニンマリ。楽しみは後にして、
まずは同伴したお二方を、驚かせねばならない。“中山間地”と言われる、いわゆる急斜面の茶畑がど
のようなものかを、体で体験してもらわねば、一緒に来ていただいた意味がない。
早速、今は園主の息子の勉さんにお願いをして、茶畑に連れて行ってもらった。
やまに園茶房園主 小柳さん

写真は勉さん。私たちはこのモノレール?に乗って茶畑に上がった。お二方とも「えぇぇぇ!これに
乗っていくんですかぁ?!」大驚き。私も今まではえっちら、おっちら100mくらいの山道を登って
いたので、初めてのこの乗り物に大喜び。ディズニーランドの乗り物以上にスリリングで楽しかった。
なんとも頼りなさそうな車がガクン、ガクンと激しく左右に揺れるは急勾配だわ、しゃがみこむしかない
お二方の頭に、時折草木が跳ね当たる。
お二方の了承さえ得られれば、悲鳴を上げるお二方の写真がその急勾配のすごさをお伝え出来そうだが、
後で怒られそうなのでグッと我慢して、
モノレールで登る茶畑
これが茶畑に向う道。左に見えるレールの急な上りが分りますか?
モノレールで下だる茶畑
上の写真は茶畑から下る写真。レールの先の急な下り坂、想像がつきますか?幼子なら大喜びか大泣きだ!
急斜面のやまに園茶房の茶畑
この写真は、茶葉畑頂上近くからの写真。まだ、上に茶畑がある。
茶畑に上りながら、勉さんが、「この畝は<藤かおり>1号、この畝は<藤かおり>2号…」と説明を
してくれる。どれ程の時間と手間暇を繰り返して、1本の苗木を株にして、畝にして、茶園へ広げてい
ったことか、その苦労に敬意を表するばかりであった。お二方といえば、想像を超えた畑の急勾配のす
ごさに「わー!」、「ひゃぁー!」「すごーい!」の感嘆符付きの感動と驚きの声ばかり。
無理もない…。

十分に勉さんのお茶作りの大変さと、香りの高いお茶が生まれる茶畑を確認して、工房に戻りお茶を
飲んだ。10年を過ぎた、当時弱半発酵茶として作られた<大井川>の葉は茶色となり、抽出したお茶
の水色も茶色であったが、その香りは果実のような甘い香りが漂い、余韻も続いた。まだ、何煎か楽
しめそうであったが、時間がなくて4煎目だか5煎目までしか淹れられなかったのが、残念。
私たちはこのお茶の力に感じ入るばかりであったが、作り手の当のご本人の感想は、「まぁまぁだね。」
謙虚で職人気質の三義さんらしい感想だ。

帰り際勉さんが「これ、なんの品種か分らないけど増えてきたで、お茶を作ってみた。どんなもんかね。」
と一袋のお茶を渡された。<大井川>の茶が出来てからから10年が過ぎて、また新しいお茶が出来上が
るかもしれない!
少々わくわくするような気持ちを抱え、私たちは東京へと帰った。
…このお茶の感想はまた、何れかの機会に。

小柳さんの茶畑は農薬を散布するが、最低限。平均的な回数の数分の一。肥料も出来るだけ少なく、
特別なことをせず、ひたすら時間をかけ、自らの茶園の土地にあった品種を探し出し、作り方の工夫を
重ねる。そうした作り方が父から息子へと渡り引き継がれている。
小柳さんのお茶は種類がたくさんあるけれど、どのお茶にも、芯に、この茶畑ならではのジャスミン
のような沈丁花のような花の香りがあり、毎度それが面白いな、と感じる。どこでどんな作用による
ものか。一度どうぞお試し下さい。
  1. 2013/07/26(金) 17:15:28|
  2. 店主の日記

米一粒 一年の努力

塗りなおしたお椀
先日、久しぶりにお香の先生のお宅を訪ねた。
86歳で気ままな一人暮らし。お茶もたしなめば、俳句もたしなむ。痛いところなし。
信仰があるから淋しいと感じたこともない、という。羨ましい限り。
いつもの椅子に腰をかけ、一番に目に飛び込んできたのは「米一粒 一年の努力」の文字。
本当にそのとおりだ。

ここのところご紹介をお休みしているが、当店では会津塗りの茶托を販売している。
鈴木さんの漆器は、日常使いに有り難いほど丈夫なので重宝する。そんな良さを気に入って下さった
幾人かのお客様が、数年前、茶托の他にお椀も購入された。そのお客様のお一人から、お椀の塗り直
しの依頼があり、連絡を取ったところ、丁度東京に行く予定があるとのことで、当時購入された他の
お客様にもお声をかけ、我が家のお椀も含め、塗り直しが必要なお椀を幾つか持って、鈴木さんを訪ねた。
東日本大震災から、会津はNHKの大河ドラマの影響もあり、ようやく7割くらい観光客が戻ったが、
農家は風評被害で今だ大変な状況にあるという。
鈴木さんの工房では、漆器にする為の木地の入手困難が続いている。
「100万個からの家を建てなくてはならないんですからね。柱1本だって、100万本から入るわけですから。
まずはやっぱりそっちに回りますよ。お椀や茶托にする為の木は簡単には回ってこないですよね。仕方な
いですけどね。まだまだ、まだまだ大変な状況ですよ。」

一週間後、塗り直したお椀がはどれもぴかぴかになって戻ってきたが、一層深みが増し、風格が出ていた。
愛着も増す。塗り直しては使い、塗り直しては使い、これぞ漆器のよさ。今の時代の生活の中にも、広ま
ればよいのに。

さて、ドキュメンタリー映画「天に栄える村」の上映が始まった。
福島県のうまい米の産地である“天栄村”が舞台。福島第一原発事故による風評被害の中での、村をあげ
ての米作りを追った映画。東京では以下の予定で上映。ご案内します。

【日程】2013/8/24(土)

【会場】東京ウィメンズプラザ ホール(東京都渋谷区神宮前5-53-67)

【時間】14:00 上映(13:30 開場)

【料金】チケット 当日1,200円/前売1,000円

【主催】桜映画社  協力:天栄米栽培研究会

【問い合わせ】桜映画社 上映担当まで➡03-3478-6110



  1. 2013/07/26(金) 00:57:18|
  2. 店主の日記

はと麦茶と麦茶

今年は、雨の多い 梅雨です。
ここ何日間か 太陽を見ていません。

自然の流れは 予測出来ませんね。

エビスグサ(ハブ茶の原料)の2回目の種蒔きが遅れてしまいました。


さて、<はと麦茶>と <麦茶>について、お詫びをしなければなりません。

麦茶は成長段階から鹿の害に遭い、収量が減ってしまいました。

はと麦茶は、収穫前に鳥の害に遭い、わずかな量しか取れませんでした。

お待ち頂いていたお客様には 毎年ご迷惑をかけてすみません。

今、芽が出ているはと麦を大切に育てています。

麦茶の原料の大麦も、今年は鹿の害が少ない場所に種蒔きする予定です。

また、出来ましたらご連絡致します。

よろしくお願い致します。

                   岸上 尚美
  1. 2013/07/08(月) 00:38:30|
  2. うみ風からの便り

三重県旧宮川村の在来種のお茶<昔馴染み>

昔馴染みの茶畑 1
この6月で、お借りしていた茶畑をお返しすることになった煎茶<昔馴染み>。
この春最後の収穫をして製茶したものが、そろそろ飲み頃になり、販売を始めました。

山深い茶畑には、JRの三瀬谷駅から車でひたすら向います。。
最寄り駅 三瀬谷

少し離れた場所に、古い歴史をもつ「龍原宮」があります。
龍原宮 1

敷地内は静寂に包まれ、清流が流れています。
瀧原宮 2

樹齢90年からなる美しい茶畑。
この美しさは、86歳になる小藤さんの、手間暇かけた汗の結晶でもありました。
昔馴染みの茶畑 3

三重県多気郡大台町(旧宮川村)の在来種のお茶。
大台山系囲まれ、清流が流れるこの土地で、無肥料・無農薬の自然のままに育ったお茶は、ほどよく渋く、
ほどい甘みと、余韻にかすかに花の香りと爽やかさが喉に残り、毎日飲んでもあきることがありません。

在庫がなくなり次第販売終了。
最後の機会。ぜひ、お楽しみ下さい。
昔馴染みの茶畑 2
  1. 2013/07/04(木) 16:18:07|
  2. 店主の日記

お店の紹介

せいすいさりょう

Author:せいすいさりょう


清水茶寮(せいすいさりょう)では、
無農薬・無肥料の、昔ながらの製法のお茶をはじめ、品種のもつ個性を活かして作られた煎茶、挽きたての抹茶、有機農法(バイオダイナミック農法)によるハーブなどをご用意して、日本のお茶の美味しさをご紹介しております。
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