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日本茶の店 清水茶寮からのお便り

店主の徒然日記、ハーブ園から、森林から便りが届きます・・・

山からの便り その2

山を守るということ ~林業の現場から~初夏の山
初夏の山
秋の山
秋の山
冬の山
冬の山

東京都あきる野市で林業を営んでいます。
そのなかで、日頃感じたり考えたりしていることを書いてみたいと思います。

上記の写真の山は養沢という、私達のフイールドの入り口の山で、見える林地は我が家の所有ではありません。
広葉樹の天然林と針葉樹であるスギヒノキの人工林が、春秋にははっきりと分ります。

さて、山はさまざまな働きをもっていて、とても総合的な存在であると誰もが知っています。その日本の大事
な自然、大切な資源である森林をどう未来につなげていったらいいか、みんなでしっかり議論を深めていかな
くてはならない時になっています。
林業が衰退し、山菜など山の恵みも畑で作られ、人々が山に入らなくなって、森林が荒廃してきたからです。

戦時中、林木の伐採、特に人工林がたくさん伐られはげ山が増えてしまった。
洪水が起きたりしたのに、復興期の家づくりのため材木需要が高まって伐採が増え、材価も高騰しました。
そのため国は緑化を強力に推進し、日本の森林の40%にあたる1000万ヘクタールの人工林ができました。
それらが今成熟してきて、伐採の時期を迎えてきています。

しかし、ここ2,30年は材価の下落が進み、林業は長い不況のトンネルに入ってしまったため手入れが滞って
きてしまいました。外国から関税なしで丸太が輸入され、為替格差などにより、日本における外材のシェアー
が80%以上になったのもひとつの原因です。(昨年は73%に少し下落)
外国の木は天然林が多く、大径木で利用しやすく、家づくりもツーバイフォーなどプレカットをして建てる
方向に進みましたから、長い歴史を持つ伝統的な在来工法で国産材を使っての家づくりをする方法は、
ハウスメーカーからおいてきぼりにされてしまいました。

でも日本の山のほとんどは、人が手を入れてきた二次林です。
天然性の広葉樹林といっても、薪炭をつくり、落ち葉を肥料にするため、コナラ、クヌギ、シデなどの有用な
広葉樹を選んで残してゆき、萌芽更新(切り口から自然に出る芽を育てる)により持続的に森林を守ってきま
した。

人工林の方は、スギ、ヒノキなどの苗を植えて育成し、皆伐または択伐(利用間伐)しては跡地に再造林する
ことで、持続可能な方法で健全な森林状態を保ってきました。どんな森林も手入れが絶対に必要なのです。
そっとしておいていいのは純天然林の白神山地や知床の森だけです。

健全な森林は「森林生態系の健全性と地力などの活力の維持」といわれており、手を入れて初めてあらゆる
森の機能がちゃんと作動します。それらは水源涵養、CO2の固定、国土保全、動植物の住まい、人への保
健機能、雨を育み気温をマイルドにし風を防ぐ、などたくさんありまね。元気な森林が上流にあることは、
下流のわたしたち都市の人々の生命線になっているといってもおおげさではないのでしょう。

そしてさらに無垢の木を家づくりに使うことは、木材の持つ調湿作用が働き、人の健康に快適に作用しますし、
CO2を吸った木は、それを炭素として固定したままでいます。

日本の山は、地形がデリケートで起伏ある山ひだを持ち、気候的にもさまざまで、土壌も変化に富んでいると
いう豊かな表情を持っています。そして山林の3分の2は民間の所有で、その形態も複雑になっています。
森林の育成には何世代もかかるものですから、それら日本独特の山の条件を踏まえて、先を見つめた広い視野に
立つ国の政策が何より大事と私は考えています。
                                       池谷キワ子

  1. 2010/11/05(金) 17:48:17|
  2. 山からの便り

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Author:せいすいさりょう


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