
週末、家族が誕生日を祝ってくれた。店のエントランスには茅の輪が設われ、食事の最後の菓子には「水無月」が運ばれてきた。誕生日のお祝ではあったが、思いかけず「夏越しの祓い」も出来たようで、その「思いがけず・・」に上機嫌。お酒にお茶に食事と楽しんだ。そのお礼に翌日、21年前に静岡の小柳さん(お父様)が作られた<香蘭>というお茶を家族に振舞った。1999年仕上げの半発酵のお茶<香蘭>は気に入っていて、最後の袋を何度も一回分出しては閉め、を繰り返している為、かなり空気に触れている。毎度その劣化の程度を心配しつつ淹れるが、期待が外されることなく今日まできた。久しぶりの今回は果たしてどうか。99年の文字を見て、期待しつつもさすがにね、という気持ちもわく。けれどやっぱり、力のある美味しいお茶は、年月が経っても美味しかった。20年経っても、甘い余韻が広がるお茶。感動するような思いだが、振舞った家族といえば、お茶にはさして興味がないので、「どう?」と聞いても、「えっ?別に。ふつーに美味しけど。」とくる。「1999年のお茶が、ふつーに美味しいって、すごいって感動しない?・・・。」
淹れるのじゃなかった、という気持ちが首をもたげるが、淹れる機会をもらったのだからやはり感謝か。
今年、<香蘭>と同じ品種で作った緑茶の<玉蘭>を販売しています。このお茶はここ数年、残念ながらご紹介出来なかったので、ようやくの思いです。<香蘭>と<玉蘭>というお茶は、<印雑一三一>という品種から作られるお茶で、<藤かおり>とは違った甘い花の香りのあるお茶です。まだ若い感じの香りが強くありますが、それもまた、今の時期ならではのお楽しみとして、おすすめしています。
- 2020/06/23(火) 00:30:25|
- 店主の日記
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山と畑と田んぼの緑に覆われた三重県の大台町栗谷というところから、郷土愛たっぷりのSさんから、自家用
に作られたお裾分けのお茶が届いた。とても真似出来ない程大事に、手間暇惜しまず自家用の茶畑を管理さ
れるけれど、仕上げたお茶のほとんどは皆配ってしまう。気前の良さに有り難く、毎年、この土地ならではの
お茶を楽しませて頂いている。
山に覆われたこの土地のお茶は、Sさんの茶畑ではないが、当HPでも<栗谷煎茶>として販売させて頂いて
いた。が、事情により今年生産終了。地元の方が、ここは桃源郷のよう、とおっしゃったそのすぐ近くの畑から
作られるお茶が、思いがけず、もう、飲めなくなってしまった。
ご予約頂いてお客様には、本当に申し訳ありませんでした。
このお茶屋を始めてから、いくつも生産終了になってしまったお茶がある。お茶が仕上がった春には、来年は
もっとこうして・・・と話しが弾むが、思いがけなく生産終了のお知らせがくる。記憶にだけ残るお茶が増えていく。
同じ三重の大台町から届いた小切畑のお茶が今年とても美味しいです。
<在来種煎茶>はふくよかで、しみじみとした余韻が長く続き、<やぶきた煎茶>は作り手さんが目指す、くど
さのない、すっきりとした美味しさが楽しめます。今年のお茶の余韻、どうぞお試し下さい。
- 2020/06/14(日) 16:08:07|
- 店主の日記
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過日、親戚からタケノコが届く季節・・・と書いたが、その後は空豆、トマトと続く季節となった。空豆は届き始めの頃は大層な殻を身にまとっているが、剝き甲斐がない程小さな青豆で、今年は不作か?と思わされたが、それも届く度に美しい鶯色の、立派な豆が現れるようになった。空豆は焼いて塩をふって食べるのがなによりと思うが、大量に届くようになれば茹でて、料理の材料に使ってと、多いに食べて今年も空豆の季節は終わった。例年通り、ということに安堵した一時。
届く季節にトマトが加わり、気持ちが初夏へと向かう。とはいえ、トマトは4月が濃厚で美味しい。お気に入りの食パンを焼くその隣りに、輪切りにしたトマトを銀紙にのせて一緒に焼く。トーストに焼いたトマトをのせて、お気に入りの塩をふり、オリーブオイルをかけるだけのこの時期のご馳走。新しく見つけたギリシャのオリーブオイルが気に入り、大いに満喫した。珈琲も好きだが、その後でも最後はミント茶が爽やかでよいと感じる。ギュッとうまみが詰まったトマトにミント、体の中から元気になる。
残念ながらそんな時期も過ぎてしまい、すでに店頭に並ぶトマトは水っぽさを感じるようになった。旬は速足。これからの日射しの強くなる季節は、美味しさよりも、トマトのリコピンの作用を頂くつもりで、フライパンを出し、オリーブオイルでトマト焼いてのせるがおすすめ。熟したトマトは小麦粉を叩いてから焼くとよい。リコピンは油で焼くとその効果が大きくなるとなにかで知った。
そしてぜひ、先日ご紹介したミネラル豊富な<野生の詩>を、朝の一杯に加えてみて下さい。カップにわずかの茶葉と熱湯を少し入れて、ほんのしばらく置いておくだけ。お茶の力は、体の元気の源になってくれます。
- 2020/05/24(日) 13:00:21|
- 店主の日記
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普段は使うことのないほの暗い台所に、窓からの光が差し込み、その陰影の美しさにしばらく見入ってしまった。
全体が朦朧としたその台所で、先日販売を始めた「野生の詩」と名をつけた山茶と熱湯をマグカップに注ぐ。
茶葉が沈むまで、しばらくの時間。釜で炒り上げた茶葉の、香ばしにおいが立ち上り、少し湿った静かな台所に静けさがましていく。
このお茶は、茶摘から仕上げまですべて手作業で作られたお茶を合わせたもの。無農薬、無肥料で自然のままに育ったと書いてはいるが、茶樹が元気に育つ為に、一年を通して樹を守る作業は手間暇がかかる。そんな作業の苦労は一年を通して体験してみないと分からないけれど、ブレンドしたこのお茶は、急須できっちり入れなくとも、自然茶のもつ滋味が味わえる。
たくさん、しっかり飲もう、と思わず、ほんの二つまみの茶葉と三口程度の少しの熱湯を大きめのカップに入れるだけ。飲み干した後の吐く息に、疲れも一緒に出てくれる。本来のお茶の効能。手作りのこうしたお茶は、あと、どれだけの時間飲み継いでいかれるか、欲張ってついついそんなことを考えてしまう。人の手による自然茶、求める方ぜひ、お試し下さい。
- 2020/05/18(月) 11:34:31|
- 店主の日記
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雨の日の今日は、少し多めにハブ茶を煮出す。
飲み切れない分は冷蔵庫へ。晴天予報の明日のための冷たい飲み物として。
そんなことが、明日のちょっとした余裕につながる。
- 2020/05/16(土) 13:44:18|
- 店主の日記
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当ホームページに「山からのたより」を書き届けて下さる池谷キワ子さんの、今まで様々なところに書き上げてこられた文章が、一冊の本にまとまり、嬉しい思いでいます。
本になった「山からのたより」のはじめの言葉の一部ですが、「山は居心地のいい空間です。もし山を砕石などで削り崩してしまったら、そこへいくら土を積み上げても再生出来ません。地下水脈をもち、湧き出る清水がミネラルや鉄分を流し出していく山の姿は、人間には再建しえないものです。ほとんどが木をまとっている日本の山では、さらに緑のダムとなります。森林の環境的によい状態にしていくためには継続した人の手が必要ですし、そのためにも林業が存続するしかないのだろ私は思っています。」と記述されています。今の自然環境に至る歴史的な時間の再生は不可能であることを、今ある自然の恩恵を改めて思わされます。
残念ながら一般販売はしていないた為、皆様にはぜひもう一度、HPの「山からのたより」をお読み返しいただけたらと、ご案内致します。
- 2020/04/19(日) 15:48:02|
- 店主の日記
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新型コロナウィルスの影響で、食料輸入に影響はないのかと思っていた4月のはじめ、親戚から野菜とお米が届いた。野菜の中にはクレソンと菜の花も入っていて、「まだ菜の花が摘めるのか」と感激した。そういえば前週の3月末に、川口に引っ越した友人が、近くの川沿の風景と題して、満開の桜と菜の花の写真を送ってくれたか。
大量のクレソンを、あくが出ないように手で切り分けたが、外出自粛で、なるべく家でおとなしく、と思うと、手間で取られる時間ももったいないな、と思う心が首をもたげず、クレソンの清涼な匂いも加わり、気分がいい。今年の食べおさめになる‟菜の花”のつぼみと、クレソンの茎をごま油で軽く炒めてご飯にこんもりのせ、クレソンの柔らかな葉は白和えに。春の終わりに停滞しつつあった体に、瑞々しさをもたらした。
翌週、タケノコが続いて届き。大鍋を登場させる。しばらくの間、タケノコ便が田舎から続く。有難いことこの上なし。
ここ数週間、度々飲んでいるのは自家製のお茶。原料の茶葉がよければ、ホットプレートで作るお茶だってこんなに美味しく飲めることを知ってほしい、と毎回思いながら満足の一杯を胃に納めている。この春は残念ながら静岡にも三重にも行けず、自家用のお茶づくりも出来ないが、先週から静岡の小柳さんは、早生の品種のお茶づくりを始めた。毎年、新茶の若々しいだけのお茶は少し置いてから・・・、とゆっくりご紹介を始めているが、今年は、若々しいだけの・・のお茶の強い力も飲んで頂きたい気持ちが湧いている。瑞々しい新茶入荷のお知らせ、もうしばらく、楽しみにお待ち下さい。
- 2020/04/12(日) 15:07:13|
- 店主の日記
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許可を頂いてご紹介します。
「20~30分程度のお茶会をしたいのですが、お茶とお菓子を紹介していただけませんでしょうか。
紙コップ使いますが、片付けも含め時間は30分です。ティーバッグだと助かりますが、急須はあります。」
2月の初め、そんなメールが届いた。
ご両親の介護に追われる会社の同僚に、ほんのちょっと一息いれてほしくて・・とのこと。
嬉しく頂いたメール。
さて、どうしよう。
丁度バレンタイン月。楽しくて、可愛いチョコレートが巷にたくさんあふれている。
写真のタルティンのお菓子をご紹介して、10ヵ月経ってようやく飲み頃になってきた「べにふうきの紅茶」の
ティーバッグをお届けすることになった。
他パッケージがとってもかわいいコモナ―カのチョコレート

も可愛い、ということで、このお菓子には手元にあったスペインのハチミツ入りのカモミールのティーバッグを
マツヤのロシアチョコレートも可愛いとのことだったので

このお菓子には、ペルーのお土産の爽やかなハーブのティーバッグを、お茶屋からのエール、
と心ばかり添えてお送りした。
後日、全員が楽しく美味しい時間を過ごせたと、お礼をお伝え下さった。
介護に仕事に家事にと自分の時間が持てないままに過ごす毎日の中で、20~30分の時間を確保することは
さぞ大変なことだったと身に染みて思うところだ。性格にもよると思うけれど、ほんの5分でも、一休みの時間
をつくることに、エネルギーがいったりもする。「ちゃんと自分も休んでね」と他人事に言われても、坂道下るよ
うな急ぎ足を、途中で止めるのは大変なこと。思い切って一休みの時間をつくられた同僚さんにも、そのきっ
かけをタイミングよくつくられた仲間の皆様にも、お茶がお役にたててよかったと感謝しております。
それにしても、年が明けて、ようやく飲み頃となったべにふうきの紅茶。
こういうことが時々あるので、春の仕上がりがあまりよくないな、販売出来ないなと思ったお茶もあなどれません。
<べにふうきの紅茶> 通販でも、販売始めました。
今、おすすめ時です。
- 2020/03/07(土) 18:57:04|
- 店主の日記
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「これ、お母さんにあげて」。金さんがオニクルミを2個ポケットから出して言った。
「ボケ防止にいいから。私、オニクルミの木の下通った時に、落ちていたら拾っておく。私のお父さんから、
昔、中国人のお爺さん達はボケないようにオニグルミをいつも手の中でかちゃかちゃ回していた、と聞いた。
私もぼけ防止にやってる。色々やってるけどね。」
「色々って?」と聞くと、金さんは嬉しそうに、
「なんでもする。昔韓国も男子厨房入らずだったから、今だに台所仕事はしないけど、それ以外なら編み物
もするし、なんでもするよ。この首のも自分で編んだ。暖かいよ。周りの人にあげるとみんな暖かいと喜ぶ。」
とネックウォーマーを引っ張った。
「しらいさんにもあげようか?私のオリジナル。自分で編み目とか考えて工夫した。」
「えー!いいの?ほんと?ほっしー!!」 。
気軽におねだりをしてから2週間程したある日。
「しらいさんいる?」金さんが訪ねていらした。
「はい、30分前に出来上がったばかり。他にも約束した人がいて遅くなっちゃった。」
暖冬と言えども寒い冬の日に、わざわざ仕上がったばかりのウォーマーを届けてくれたその気持ちもこもり、
そのネックウォーマーの暖かいこと。2月の寒さ、これで助かる。寒がりの、丸まった私の背が伸びた。
- 2020/01/30(木) 14:32:25|
- 店主の日記
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先日、山梨へ引っ越した友人が手作りの干し柿とケーキを手土産にひょっこりやってきた。
大病、手術、続く治療の中、
「私もう、治療も薬も必要ないと思うから、これで止める事にした。」と友人が電話口の向こうで明るく言った。
そして「東京はもう住みにくし、便利でなくていいから、暮らしやすい所を探すことにしたわ。」と続いた。
それから1年以上かけて、山梨の地に終の棲家を決めた。
久しぶりに会った友人は元気そう。
「このケーキはちょっと珍しい小麦で焼いもの。これは初めて作った干し柿。冷蔵庫で少し日を置いてから
食べてみて。渋柿が美味しい干し柿になるって実感なかったけど、今朝食べたけど、いい感じだった。」
大いにお茶を飲み、山梨の暮らしぶりをあれやこれやと楽しそうに話し、
「やっぱり山梨が落ち着くな。」と言い残し、未練なく帰っていった。
「やりたいことは出来るんだから。心を自分で縛らないで行動しなさいよ。」と私の背中を押していった。
そして、もう少し置こうかな、置こうかな・・・と毎日冷蔵庫の干し柿を眺めていたら、すっかり日が経ち、
色も真っ黒になってしまった。
今日初めの一個。
まだほどよく柔らかくて甘かった、手作りの干し柿。
熊本の在来種の釜炒り茶も、静岡の深焙煎茶も、干し柿の甘さによく合うこと。
このお茶を送り、病を乗り越えて、私の背中を押してくれた友人を喜ばせよう。
- 2020/01/24(金) 20:20:05|
- 店主の日記
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新年あけまして おめでとうございます
本年も ご縁のつながった作り手さんからの美味しいいお茶をご紹介致します
美味しいお茶を飲むことを ひとつの楽しみとしていただけるよう努めてまいります
さて、昨年のお話。暮れにお世話になっている方からお電話が入りました。
聞けば、故郷に住む96歳のお母様に送るお茶が見つからないとのこと。今まで故郷のお茶屋さんからお母様
にお茶を届けてもらっていたけれど、閉店となりそれが出来なくなったので、代わりのお茶を探して送ってみるも、
どれもこれも 「口に合わない」と別なお茶を催促されてしまっているとのこと。
「私も女房もお手上げですわ。で、そうだ!と白井さんに連絡を入れた次第です。」
素晴らしい。口に合うお茶が飲みたい。飲ませんか、と息子に容赦なく注文出来るとは。
日常幾度となく楽しむお茶を、96歳の御年においても大切にされる姿勢。お茶好きとしては、当店のお茶でなくとも、
お母様の飲みなれた味のお茶に近い味のお茶をお届けしたい、と腕まくりする思い。ところがご子息様は、ご嗜好
のお茶がどんなお茶か分からないとのこと。 さてはて。お役に立てれば幸いですが、見つかるでしょうか。
次から次へと新しい商品が登場する毎日の中で、「私はこのお茶と決めているの」、という姿勢がとてもかっこよく、
当店のお茶もお客様にそのように思って頂けるようになりたい、と新年早々の目標となりました。
今年もどうぞよろしくお願い致します。
- 2020/01/04(土) 22:58:04|
- 店主の日記
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今年も残りわずか。やり残したことはたくさんあるが、この年の瀬になって、一気にやり遂げた。
苦手、苦手な針仕事を。我が家の黒猫ちゃんが、遮光カーテンにじゃれて裾をほつらせ、まぁ、
そのうちに・・そのうにち・・と目をつぶって過ごしていたら年の瀬の大掃除になってしまい、
ここにきて計6枚の遮光カーテンの裾をまつる羽目になってしまった。
来年への戒めには十分な作業になりました。本当にやれやれ。
半日かけて作業が終わった後に飲みたくなったお茶は、三重の緑茶。
自家用に育てたお茶を、毎年身近な人たちへお届けするのを楽しみとされている、そのお裾分
け頂いたお茶だ。今年は茶摘みの予定日の明け方に、霜に当たってしまって残念でならない、
とおっしゃっておられた。確かにそうしたお茶の風味ではあるけれど、いやいやどうして、秋まで
寝かせていたら、余韻が長く続くお茶に仕上がってきた。
しょぼしょぼになった目を閉じて、余韻を楽しみながらお茶を味わうこと十分。たった十分で、
長作業で疲れた気分からリフレッシュ。お茶はこうでなくちゃね、と改めて思わされた。
お茶を飲まれる方にはぜひとも、お好みの、出来れば余韻が長く続くお茶がお手元にあるように、
見つけてほしいと思っています。新しい年が生きやすく、少しでも気持ち楽に暮らせるよう、当店
も、そんなお茶を紹介していきたいと思っています。
- 2019/12/30(月) 22:57:18|
- 店主の日記
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11月は春に仕上げたお茶が、時間をおくことで、新茶ならではの青々しい風味から、
深い味わいを楽しめるようになる、それを喜ばしい月として過ごすお茶の世界があります。
私はもっぱら、5月に仲間たちと作った手作りのお茶で、その変化を楽みます。
この春は、お茶の木の成長を阻むような天候が続きましたが、自然まかせのお茶の木の
強さも知り、秋を迎えその美味しさも手前味噌ですが、上々です。・・・と、
でも、今日は、お菓子の話を。
11月にはまた特別に(毎月ありますけど)楽しみにしているお菓子があります。数年前まで
はなんと言っても「亥の子餅」でしたが、数年前からは鶴屋八幡さんの11月後半に作られる
「峠の朝」という上生菓子になりました。上記の写真のお菓子です。この時期の朝の峠の凛
とした空気が伝わってくる、この美しお菓子に、見た瞬間に一目惚れです。不思議な形を見
ているうちに、これは緩い山か、と思わされた時には膝を叩く思いでした。緑青色の餡は、
生地を通してみると、朝靄のかかった峠の風景を想像させ、中を割ると、美しい青色の餡が、
新鮮で冷たい空気と共に現れ、目覚めるような思いでお菓子を頂くことが出来ます。
質のよい甘さは口に残るほどではありませんが、その後のお茶が美味しくなるような、
お茶が欲しくなるような美味しさです。小切畑の煎茶や阿蘇の農園の緑茶もよいけれど、
爽やかな余韻がある当店の抹茶(清爽)がまた一層美味しく、この時期の楽しみになっています。
そのお菓子も今日で最後。また来年のお楽しみです。明日は、爽やかな12月の朝を迎えたいところです。
- 2019/11/30(土) 23:27:53|
- 店主の日記
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平成の最後に家で作ったというお茶は、静岡の小柳さんの畑で管理されずに自然まかせに
育っている<藤かおり>を摘んできたもの。3年前の春、小柳さんの畑に行った際に、すっか
り野生化した<藤かおり>の存在を知り、それを仲間が家でお茶に仕上げてみたところ、
<藤かおり>らしい、凛とした花の香りがいつまでも続く晴らしいお茶に仕上がり狂喜した。
放置されたままの<藤かおり>を見て狂喜している私たちを見て、小柳さんは物好きだと笑っ
ていたが、来年よく摘めるようにと、背丈よりずっと高く成長していた<藤かおり>の木を秋に
小さく切っておいてくれた。以来、春の小柳さんの畑には、茶づくりの現場に行く、というより、
野生化した<藤かおり>を摘んで家でお茶づくりを楽しむ事がメインになってしまった。
上記の写真の、手前の葉が、放置されて野生化した<藤かおり>
うっそうとした中でゆっくりと成長している<藤かおり>を見た瞬間、心が躍った

管理されている<藤かおり>の茶畑はこの風景

小柳さんの畑では、印雑131という品種のお茶づくりのスタートは、例年4月の中旬だが、
今年は4月に気温が上がらず茶葉が成長しない為、4月下旬になってしまった。小柳さんが
ぽつりと、「ほんとまいったよ。今年は、葉がぜーんぜん伸びないで。ま、こういう時は、自然
まかせのもんは強えーな。白井さんのお目当ての<藤かおり>はよっく伸びてるよ。」
うしし、とその場ではついほくそ笑んでしまったが、お茶屋としてはやはり、小柳さんに多くの
お客様に美味しいと喜んで頂ける<藤かおり>をたくさん作って頂けるように、と祈る思いです。
- 2019/05/12(日) 19:13:39|
- 店主の日記
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平成最後の日、といっても特別な日に過ごすこともなかろうが、それでも私は何をして
過ごしているかな、と過日ぼんやり思うこともあったが、慌ただしく流れるまま日を過ご
していたら、30日は家でお茶作り、という日になった。今日も明日も私には変わらない
日だが、時代のかわり目の日に、私にとっては特別な<藤かおり>というのお茶を、
自宅で、このお茶の生葉を一日触っていられたことが、何となく、可笑しくて嬉しい。

これは揉んでいる途中の<藤かおり>の茶葉です
- 2019/04/30(火) 23:59:33|
- 店主の日記
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新茶の時期に静岡、三重の茶畑に出かけ、今年は放置されてしまった茶畑
をいくつか見てきた。その時の驚きと気づきは後日書きます。
5月はいっそう慌ただしく過ぎ、梅の季節到来。
先日友人宅の梅畑に出かけた。無肥料・無農薬で育つが、翡翠色に輝く青梅
は毎年フルーティーで、角のない酸味に実る。
毎年届けて頂く梅の量は収穫任せ。今年は25kg。大量、大量。多くをジャムに
するが、一年に一度、慌ただしい日常の中でも無駄にせず、面倒がらず、丁寧
な仕事を心がける意思を鍛えられる。
今年は25年くらい経った梅酒を飲み始めている。紹興酒やらブランディーに梅
を漬け込んでおいたものだが、美味しいこと。今年は先の楽しみに何を仕込ん
でおこうか。
とと・・・・話しがすっかり梅の話になってしまったが、本当は<カミツレ茶>の
入荷のお知らせが本題です。今年は入荷が遅かった上に、HPで入荷のお知らせ
をしたつもりになっており、すっかりご案内が遅くなってしまいました。
入荷お待ちのお客様には大変失礼致しました。申し訳ございません。
とても綺麗でフレッシュな<カミツレ>が入荷しておりますので、今年もぜひ
お楽しみ下さい。

無肥料・無農薬の梅畑
- 2017/06/17(土) 12:17:01|
- 店主の日記
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今朝、千葉の親戚から ‟タケノコ” が届いた。
3月に入ってすぐの頃、千葉から5つ程の‟蕗の薹”が届いた時には、
‟もう、春だな・・・” と思わされたが、‟タケノコ”の到着は、ようやく来ました!
という感じだ。聞けば、今年は不作とのこと。そう言えば、スーパーの店頭でも
‟さぁさぁ!出たよ出たよ!”と言わんばかりに並べられている光景がまだ見ら
れない。 それでも、もう千葉では田植えが始まったと聞いた。
先週、狭山の生産者の方から、新茶ほんの少しですが作りました、とご連絡を
頂戴した。目に青葉の、眩しい季節は目前だ。
さて、夕方は、徳島のお茶を飲んでみたいというお客様のご要望にお応えして、
手元にある徳島のお茶を楽しんだ。上記の写真のお茶はメディアでも取り上げ
られている徳島県三好市(秘境のかずら橋で知られる場所)の山茶だが、知人
の親戚の方が作られた、同じ地域の山茶も加えて4種類を並べた。
徳島の山茶と言ってもそれは在来種の面白さ、場所、作り手によってそれぞれ
に個性がある。だけどどこかに、共通する風味があるのもまた面白い。
煎茶をひと通り飲み終えて、最後に、宍喰地区の山間部、がけっぷち海岸から
少し山中に入った秘境の集落で作られた寒茶を煮出した。

お茶の紹介の説明文の最後に、
寒茶を作っている、ばっちゃん達の平均年齢は73歳です。
秘境ゆえ、寒い辛い仕事ゆえ、後継者がいないのが現状ですが
懐かしく美しい故郷の情景を残したいと頑張っています。
とある。
知人のご親戚の方もご高齢で、奥深い山の中でのお茶作りを心配されるご家族
の声が年々高くなり、とうとうおやめになると聞いた。
もうすぐゴールデンウィーク。
どこかにご旅行に行かれましたら、特産品でなくとも、その地域でしか販売されて
いないお茶に出会えるかもしれません。お土産コーナーに足を踏み入れられまし
たら、その土地のお茶を探して試しに飲んでみるのはいかがでしょうか。
この先の未来より、今の方が、日本のお茶は豊富にあるのかもしれません。
- 2017/04/01(土) 00:05:07|
- 店主の日記
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キャラメルのような香りか・・・
今年のハブ茶はとても香りがよい。毎年香ばしくていい匂いだと悦に入るが、
今年は特にいい匂いがする。袋を開く度にそう思うのだが、じゃ、どこが違う
のかというと難しい。キャラメルのような甘い香りがいつもより強くするけれど、
それだけではないので難しい。もっとも、機械で焙煎している訳ではないので、
次回の入荷分はどんな香りに仕上がるかは分からない。
まずは今回の入荷分、おすすめです。
甘酒を飲まれる方は、水の代わりにハブ茶で作る「ハブ茶のお甘酒」
もおすすめです。栄養満点です。

- 2017/02/15(水) 23:33:48|
- 店主の日記
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昨年、我が家にコンビニ前で保護されたという子猫の黒猫がやって来た。
「ダメ!」「ダメでしょ!!」どこにでも上がる、倒す、ひっかっく・・・
母は一日に何十回と猫に怒った声で言い聞かせるが、猫には全く通じない。
母が後ろを向けば、すぐまた同じ悪さをする。
こんなに ‟ダメ!” という言葉が届かない猫も我が家では珍しいが、怒られて
もキョトンとしているところを見ると、怖い思いはせずに野良猫生活を出来てき
たか。‟よし!”と私は猫の頭を撫でたりするが、一家の主婦にとってはとんで
もない。爪をひっかけてぶら下がるので、サッシの雨戸は張り替えに至った。
歴代の我が家の猫はみな、家の中はもちろん、家でも外でも自由な出入りを
許してきたが、この黒猫だけは自由をお預け。居間から出してもらえない。
もちろん、部屋から出たくてしょうがない。




人が扉の取っ手を下ろすのを見て覚えたか、猫は取っ手に体重をかける。
扉のそばにあった棚はどんどん扉から離され、とうとう猫の踏み台となって
いた棚は部屋から出されてしまった。 猫はガックリ。
今朝、すごい光景を見た。
テーブルの上でお茶を注いでスッと顔を上げたら、扉のガラスのわずかな
隙間に、ホチキスの針程度の小さな爪を8本ひかっけて、黒猫がだらんと
扉にぶら下がっていた。「あけてー!」と全身で訴えている。
ここまでやったら部屋から出さずにはいられない。しばらくお忍びの散策を
楽しませた。
10年前、日本茶の仕事を始める気持ちがどうしても後一歩自分から出てこ
ない、という時、ある方が「必死でやってれば、必ず誰かは見ていて力を貸
してくれるから。思うところがあるなら始めなさい。」と背中を押してくれたこと
を思い出した。
- 2017/02/12(日) 12:13:16|
- 店主の日記
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世田谷線の「松陰神社前」駅から45歩のことろにある、
「 松陰PLAT」の2F に
リニューアルオープンした「タビラコ」さんに伺った。
「ようやく来れました。もうすぐオープンから一年経ってしまうところだったわ。」
「まだまだ、そんなに経ってないですから。気にしなくて大丈夫ですよ。」
店主もお店の雰囲気も、のんびり。
当店のハーブをメニューに出してくれている。
デザートも食事も体に優しい美味しさがある。
木造アパートを改築した建物には、カフェやギャラリー、雑貨屋さんが同居して
いて、面白い。以前よりもっとイベントが出来るようにと、店内に工夫を加えた
とのこと。 ライブも時折開かれるが、演奏家との距離感がいい感じだ。
すっかり長居をして、帰り際、この辺りは美味しいパン屋さんが多いので情報
を聞くと 「一番のおすすめは、何と言っても女性がひとりで切り盛りしている
‟わたほろ” さんですね。美味しい。本当に美味しいです。ハード系のパンしか
ありませんけど、美味しいです。…でも、こんな時間にパン、残ってるかな…
行ってみます?看板出されていませんけど、割とすぐ近くです。」
暗くなった道を急ぎ、看板のないパン屋さんに向う。
あったー!方向音痴の私が、パン屋を見つけ、たった1個だけ残っていた
‟パン・オ・ルヴァン” を手にした。
大満足。パンを作る女職人さんが素敵な笑顔で、
「私ひとりでやっているものですから、午前中製造して、14時から開店して
20時まで、が精一杯なんです。すみません、これしか残ってなくて。」
と言っておられたが、確かにまた行って、もっと色々なパンを食べてみたいな、
という気持ちにさせられた美味しさでした。
渋谷から20分程度にある松陰神社前。「タビラコ」さんでのんびりした後、
美味しいパン屋さん巡り、おすすめです。
- 2017/01/27(金) 20:31:18|
- 店主の日記
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